犬の迎え方と初日の過ごし方

犬を飼う際は『ペットショップ』『ブリーダー』『動物保護団体からの譲渡』『知人からの譲渡』などいろんなパターンがあります。いずれにしても引き取り先にてその犬の日常的な過ごし方を事前に確認しておくことが大事です。

目次

引き取り先での確認事項

フードの確認

食べていたフードの種類、量、回数、時間を必ず確認しましょう。いきなりフードの種類や与える時間や量を変えると、下痢などの体調不良をおこす恐れがあります。家に着いてからの1週間〜2週間は今までと同じ食生活を維持するようにします。その後、その子に合わせた食生活へと徐々に切り替えをおこなっていきましょう。

寄生虫検査の確認

『ペットショップ』『ブリーダー』『動物保護団体からの譲渡』の責任者に寄生虫検査の結果を聞いておきましょう。

まだ検査が済んでいないようなら、新しい飼い主さんが動物病院を受診して駆虫薬(虫下し)などを処方してもらう必要があります。

予防接種の確認

混合ワクチンの種類と回数を確認しましょう。ペットショップやブリーダーの場合は1回目のワクチン接種後にお引き渡しされることが多いです。

また、狂犬病の予防接種については、引き渡し後に動物病院にて個別接種や市区町村の集団接種を行い、犬の登録と同時に狂犬病予防接種済票を発行してもらいます。

トイレの確認

排便の時間やそれまで使っていたペットシーツなどの排便用具を確認し、新しい環境でも引き続き排便しやすいように最初のうちは慣れるまで同じものを使うようにしましょう。

お気に入りのおもちゃの確認

お気に入りのおもちゃや毛布があれば譲って頂くか、またはペットショップなら同じものを購入しましょう。

新しい環境になっても安心感があり、比較的ストレスを軽減させることができます。

犬を連れて帰る方法

  • 移動の途中、犬がおしっこやウンチをしてしまった際や、具合が悪くなり吐いてしまう場合を想定し、いらないタオルやバスタオル、ティッシュ、ウェットティッシュ、ビニール袋などを用意しておきましょう。
  • 犬が慣れない乗り物に乗せられた不安から攻撃的になってしまうかもしれません。その際、安心させようとして不用意に抱きしめたり、顔を近づけると噛まれる可能性もありますので、その場合はそっと背中に手を添える程度にとどめておいた方が無難です。新しい家庭に十分慣れてからたくさんハグをしてあげてください。
  • 家に着いた瞬間、犬が逃げ出さないように首輪やハーネスを装着しておきましょう。
  • また、新しいお家に慣れるよう、移動はなるべく午前中に終わらせるようにしてください。移動後の体調不良時にも対応できるように近くの動物病院の場所と診察時間も調べておくとよいでしょう。

犬を車で運ぶ

犬が運転の邪魔をしないように必ずキャリーやクレートに入れてください

犬を膝の上に乗せたままだと、運転者の視野を遮られたり、ハンドル操作が妨げられる危険性があります。

近年は犬の抱っこひものようなスリングがありますが、犬が暴れて逃げ出す恐れもありますので、キャリーやクレートといった箱状の運搬道具が安全です。

スリングは、犬が新しい家庭に十分慣れて、飼い主さんとの信頼関係ができてからの方が安心です。

タクシーを利用する場合は、事前に運転手さんに『犬がいますが大丈夫ですか?』と必ず確認してください。運転手さんの中には重度の犬アレルギーや犬が苦手な方もおられるので、ひと声かけておきましょう。

また、キャリーやクレートに入れるのが難しい中型犬〜大型犬の場合は、犬用のシートベルト、ドライブシート、ドライブボックスを用いて、比較的自由に動ける程度に犬を座席に固定しましょう。その際は同乗者が犬に付き添って運転手の邪魔をしないように見張っておく必要があります。

タクシーだと車内を犬用にアレンジすることが難しい為、自家用車や知人の車を用いるようにしましょう。

犬を公共機関の乗り物で運ぶ

犬が公共の乗り物に乗る際は、盲導犬や補助犬以外は必ずケージやクレートに入れて乗車しないといけません。

また、手荷物扱いで有料になる場合が多く、各鉄道会社やバス、飛行機、船などによって乗車出来るクレートやケージの大きさ、ペットカートでの乗車不可などのルールがありますので、事前に各会社のHPや窓口で確認しましょう。

車内では犬アレルギーの方や犬が苦手な方もおられますので、乗車の際は、必ず犬の顔を出さない様にしてください。

犬を徒歩で連れて帰る

3回目のワクチンプログラム完了前の子犬はまだ抵抗力が付いていないので、各感染症予防の為に必ずキャリーやクレートで運ぶ様にしましょう。

子犬はもちろん成犬の中型犬〜大型犬の場合でも、歩いての長時間移動は犬も飼い主さんにも負担が大きいので、移動時間は数十分程度にしてください。またその際は必ず首輪やハーネス、リードの装着をお願い致します。

家に来た初日の過ごし方

慣れた場所から離れて新しい環境で暮らすことに大きなストレスを抱え、犬が下痢、嘔吐、食欲不振などの体調不良になることがあります。

犬を迎えた初日は嬉しくてご家族全員で犬を取り囲んだり、抱っこをしたくなりますが、犬にとっては慣れない移動や環境が変わったことで相当なストレスを受けていますので、初日はじっと我慢して犬のペースに合わせてあげましょう

トイレに誘導

子犬はかなり頻繁に排泄をします。また成犬でも初めての場所では飼い主が目を離している隙に粗相をしてしまう可能性が高いです。家に着いたらまずトイレシートを敷き詰めたサークル内に入れ、排泄するまで気長に待ちましょう

無事にトイレサークル内で排泄が出来たらすかさずそのタイミングで頭を軽く撫でて大袈裟に褒めてあげましょう。

これを繰り返すことで犬は『トイレサークル内で排泄すると褒めてもらえる♪』ということを学びます。

もし、トイレ以外で粗相をしてしまっても、絶対に叱ってはいけません。大声を出したり、ましてや粗相をした場所に鼻を押しつける行為は断じてNGです。

犬は叱られると今度はカーテンの裏などに隠れてこっそり排泄したり、見つからない様にウンチを食べてしまう食糞の原因にもなります。

また、叱られる恐怖で排泄を我慢してしまう事もあります。排泄を我慢すると、膀胱炎や尿結石を発症する危険があります。

トイレを失敗した際に『キャ〜』や『あ〜あ』などの不用意な声を出したり大慌てで駆け寄ったりすると犬は構ってもらえると覚えるので、粗相をしても冷静にさりげなく対応しましょう。

家の中を探検

犬を迎え入れる際は事前に部屋の中から危険なものを取り除き、安全な室内環境を整えましょう。犬が自由に動き回れる部屋をご家族全員で話し合い決めておくことも重要です。

安全で快適な室内整備が整ったら、ハウスを設置している部屋を探検させてあげましょう。犬が戯れてきたら少しだけ遊び相手になってあげてください。ただし長時間の遊びは疲れからストレスを与えてしまうので、慣れるまでは犬のペースに合わせて短時間での遊びにしましょう。他の部屋など行動範囲を広げるのは、犬がもう少し慣れてきてからの方がいいでしょう。

また同居動物がいる場合、初顔合わせは慎重に行う必要がありますので、次の2日目以降の過ごし方の記事を参考にしてください。

※2日目以降の過ごし方の記事

ひと休みひと休み

お部屋の探検や遊びを終えて、犬の様子を見ながらひと休みさせましょう。

好きな場所で自由に休ませるのではなく、あらかじめレイアウトしておいたハウスの中で休ませてあげてください。犬は狭くて静かで暗い場所を好むのでハウスはケージやクレートなどがいいです。

初日から『休むのはハウスの中』という習慣を覚えさせておくと、今後の犬との暮らしが快適になり、犬もぐっすり休むことができるので健康に育ってくれます。

また、ハウスの中には引き取り先からもらったお気に入りの毛布があれば安心するので一緒に入れてあげましょう。なければ新品の犬専用毛布でも構いませので、徐々に家庭の匂いをつけて慣れさせておくと、ペットホテルなどのお預かり時にも役立ちます。

犬のペースでコミュニケーション作り

犬はトイレ→遊び→ひと休み→食事→トイレの繰り返しで生活します。

特に最初のうちは犬をペースをよく観察し、その子のペースに合わせてコミュニケーションを取ってあげてください。

子犬の場合はしっかり遊んであげる。ワクチンプログラム終了後の犬の場合はしっかりお散歩をしてあげることで、ストレス解消になり、程よく疲れぐっすり眠ってくれますので夜鳴きや問題行動も少なくなります。

くれぐれも新しい環境に慣れるまでは無理強いは禁物ですので、その都度犬の様子や体調を確認してあげてください。

食事の与え方

事前に引き取り先で確認しておいたフードの種類と量を参考にして食事の準備をします。

また、環境が変わったストレスでうまく消化ができない可能性もあるので、少し少なめにするとよいでしょう。

食べないようであれば無理に食べさせず、いったんお皿を片付けて少し時間を置いてから再び与えてみてください。

フードの入ったお皿を置きっぱなしにすると、いつでも好きな時に食事が食べられると犬が覚えてしまうので、食べない時は必ず一度片付け、ふやかしたフードなどは食中毒の危険もあるので、面倒でもその都度新しいフードを与えましょう。

初めての夜

基本的にはハウスの中で寝かせますが、一人ぼっちの寂しさから夜鳴きをする犬もいます。

特に社会化期(生後3〜13週齢)の子犬は、犬の性格を決定する重要な時期なので、ハウスの中で一人ぼっちにしてしまうと分離不安症(飼い主がいないと不安で吠え続ける性格)になってしまう危険性もある為、そばで飼い主の気配が感じられる様に慣れるまではしばらくハウスの近くに布団を敷いて寝るのがよいでしょう。

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