犬の習性に合わせたお部屋作り

犬が喜ぶ部屋とは?

まずは、犬にとって危険なものを部屋の中から一掃することが必要です。

その後、犬の習性や性格を理解したり、しつけによって環境改善を行なっていきましょう。

目次

基本的なお部屋のレイアウト

床対策

フローリングやタイルの場合、犬が走ったりジャンプしたりする際に滑って足腰を痛めてしまいます

フローリングに滑り止め加工を施しても徐々にコーティングが剥がれてきたり、クッションフロアの床も犬が爪を立てたり走ったりするとそのうち表面がボロボロと剥がれてきます。また畳も犬によっては掘り掘りする子もいるので1番いいのは、洗えるタイプの毛足の短いカーペットやクッション性の高い低反発カーペットを敷くのがお勧めです。

ちなみに毛足の長いタイプやループ対応のカーペットは犬の爪が引っかかったり、カーペットの隙間にホコリやゴミが落ち掃除も大変なのでお勧め致しません。

犬専用のお部屋を設けるパターンでは床一面に、また、リビングを人間と犬で共用されるのであれば犬が自由に動き回れる範囲だけでも毛足の短いカーペットを敷いてあげてください。

バリア・間仕切り対策

犬の安全の為にもキッチン、寝室、浴室、ベランダ、玄関など入ってほしくない場所がいくつかあります。

キッチンには包丁や果物ナイフ、ハサミなどの刃物。犬が食べると危険な食材、ガスコンロのスイッチを押してしまうなど特に危険がいっぱいです。それ以外にも水を張った浴室で溺れたり、洗濯機のドラムに入ってドアが閉まってしまい閉じ込められたり、水回りには有毒な洗剤類も多くあります。玄関やベランダも犬が脱走したり転落事故があると危険です。

犬に入られたくない場所にはバリアや間仕切り柵などを設け、犬が自由に動ける範囲を限定しておいた方が安全です。

犬の隠れ家(ハウス)

犬はストレスを感じた時、人や他の動物から身を隠せるスペースを必要とします。

犬が自分の意志で姿を現したり、隠れたりできるようにお部屋の中に専用の隠れ家(ハウス)を設置してあげましょう。

部屋の隅など人の通行が少なく、直射日光やエアコンの風が直接当たらない場所にケージやサークルで犬の隠れ家(ハウス)を作り、中に柔らかい毛布やクッション、犬用のベッドなどを置いて、周囲を布かケージカバーなどで覆ってあげましょう。

尚、サークル内にはトイレの設置はせず別にしてください。ペットショップのようにサークル内にトイレを一緒に設置すると、トイレの認識が出来なくなり、犬がサークルから出ている間、リビングなど自由に動き回れる場所でフリーにしている際などトイレの失敗が多くなりますので、できるだけハウスとトイレは遠くに離して設置しましょう。

愛犬のトイレのタイミング(起床時、朝食前後、お昼寝後、夕食前後、就寝前など)を把握しておき、タイミングに合わせておやつなどでトイレに誘導してあげてください。

トイレトレーニング中の子は、サークルにトーレシートまたはトイレトレーのみを入れたサークルに誘導し、排出するまでサークルから出さずに、ワンツー、ワンツーなどトイレの掛け声をして覚えさせると良いでしょう。無事に排出出来たらトイレサークルから出して、おやつなどでたくさん褒めてあげてくださいね。

犬の隠れ家(ハウス)は『自分の身は隠れているけど、飼い主さんの姿が見える場所』がベストです。

トイレとご飯を食べる場所

トイレの設置は、ご飯を与える場所や睡眠場所とはなるべく遠い場所に置きましょう

犬も人間と同じで自分の排出物の臭いがする場所では食欲もわかないですし、安眠もできないからです。

トイレを隠れ家(ハウス)に設置される方もおられますが、出来るだけ寝床から遠く離れた場所が理想です。長時間のお留守番時事には、大きな柵で囲んだ中に隠れ家(ハウス)とトイレを設置して犬が自由に排泄できるようにしてあげるといいでしょう。

食事場所は、水を飲んだ際に毛布やベッドが濡れたり、こぼしたフードで汚れてしまうので、寝床とは離れた場所にランチョンマットを敷いて与えるとお掃除が楽になります。給水器タイプだとあまりお水を飲まない犬も多く、水分不足になると腎臓の病気や尿路結石の危険もありますので、基本的には新鮮なお水をお皿でガブガブ飲めるようにしておいてあげましょう。

またお皿の水がなくなっていることに飼い主が気づかなくても大丈夫なように、予備としてもう1つ、いつでもお水が飲めるように隠れ家(ハウス)の中にも給水器を設置しておきましょう。

長時間のお留守番の際は、隠れ家(ハウス)の中に、犬がお皿ごとひっくり返さない様、柵に引っ掛けるタイプのお皿にフードを入れておくといいでしょう。

冷暖房器具の設置

電気代を節約する為に、扇風機や電気ストーブ、石油ファンヒーター、こたつなどを使用される方がおられますが、犬が過ごす場所では基本的にエアコンで室内の温度調整を行います。

犬は人と違って汗腺がありませんので、汗が蒸発した際に気化熱を扇風機やうちわで冷やすことができず、被毛の中の空気が入れ替わり何となく気持ちがいい程度で、温度調整には使えません。

人間と犬とでは基礎体温も体温調整方法も違うので、最悪のケースでは熱中症で亡くなることもあります。

夏場はしっかりとエアコンで温度は26℃〜28℃、湿度は50%の目安で室温調整してあげる必要があります。

冬場はこたつや電気カーペット、床暖房などを使うことがありますが、たとえ低温でも長時間同じ場所を温め続けると低温やけどの恐れがあります。犬は被毛に覆われており、皮膚の様子を確認することが困難なため、犬が気持ち良さそうに寝ていても長時間コタツの中に放置していたり、近距離で電気ストーブに当てらせておくのは危険です。

冬場もエアコンで暖を取り、温度は25℃〜27℃、湿度は50%の目安で寒さ対策をしてあげましょう。

電気代はかかりますが犬の健康と安全の為にも人が留守の間もエアコンはつけておき、室内の温度調整を行いましょう。

また、雪国でストーブをメインに使われているご家庭では、安全対策のためストーブのまわりにストーブガードで犬が絶対に近付けないように必ずバリケードをしてください。

窓対策の注意点

太陽光には紫外線による被毛の殺菌効果が期待できます。窓の近くに柔らかいベッドを置き、犬がいつでも好きな時に日向ぼっこができるようにリラックスできる場所を作ってあげましょう。

また外の騒音がうるさい場所や犬の吠える声が気になる場合は、防音性の高い二重サッシに替えるなどの工夫もしましょう。

  • 網戸の危険性・・・窓を開けていても網戸があれば大丈夫だと思いがちですが、犬が爪を立ててガリガリして破れたり、走り回って網戸にぶつかったり、体重をかけて外れたりすることがあります。空気の入れ替えで網戸にする際は必ず飼い主がそばにいるようにしましょう。また少し目を離す場合は窓の開閉を10cm未満だけにしておき、それ以上犬が勝手に窓を開けれないようにストッパーをしておくなどの対策をしておきましょう。
  • 犬をベランダに出さない・・・犬の脱走や転落事故の原因になりますので窓の種類にかかわらず、外の空気を吸わせてあげたい時は、犬が出られない程度に細く開け、抱っこするなど必ず飼い主がそばに付き添っておきましょう。
  • 外の景色もストレスになる?・・・犬にもパーソナルスペースがあり、自分のスペース内に見知らぬ人や動物が入って来ることを嫌がる犬もいます。バルコニーに止まった鳥や、敷地内を歩いている野良猫、郵便配達員や宅配業者など犬によってはそれら全てがストレスになり、警戒吠えをすることもありますので、その場合は日光を遮らない程度に目隠しフェンスの設置や窓にすりガラス風のフィルムを貼ったりして対策をしましょう。

おうちの中の危険なもの

  • 階段・・・階段を踏み外し転落による事故、また階段の昇り降りは犬の腰への負担も大きくヘルニアの原因にもなってし まいます。どうしても階段を使用する際は抱っこをするか、階段用の滑り止めマットを敷いておきましょう。しかし怪我の危険性がなくなるわけではありませんので、必要がない限り基本的には階段前には柵などを設置し、立ち入り禁止にした方が安全です。
  • タバコと灰皿・・・犬のそばでタバコを吸うと犬の健康を損なうという研究報告がいくつかあります。灰皿にある吸い殻はもちろん、電子タバコでもニコチン入りのカートリッジを誤飲した犬が死亡している事故もあり、そのことから液体でも気体でも発がん性物質を含む可能性があるため、たとえ電子タバコでも犬のいる部屋で吸うのは危険です。喫煙習慣のある飼い主さんは犬のいる部屋とは別に喫煙エリアを設けるといいでしょう。
  1. アクセサリーや小物・・・知らない間にお部屋の中に落としたアクセサリーや小物を犬が誤飲する危険があります。中でも先の尖ったピアスは特に危険なので、犬と触れ合う際に装着したり、犬のいる部屋には置かないように注意しましょう。
  • クリップやハサミなどの文房具・・・床に落ちているものとりあえずお口の中に入れてしまう犬が多く、特に小さくて飲み込みやすい金属製のクリップは誤飲すると消化器官を傷つける恐れがあります。ハサミやカッターなども大きな事故に繋がる危険もありますので、犬のいる部屋には文房具は持ち込まないようにした方がよいでしょう。
  • 乾電池やボタン電池・・・犬が電池や磁石などを複数飲み込んでしまうと胃と腸がくっついてしまうということが本当に起こり得ます。また、コイン型のリチウム電池に関しては誤飲して電池が消化器官に停滞すると電流が漏出し、わずか数分から1時間ほどで消化器官に穴が開くことも国民生活センターから警告されているため、特に注意が必要です。
  • 洗剤や薬品・・・犬が容器を噛みちぎり中身を飲み込むと中毒症状が起こり、最悪死に至ります。必ず犬のいる部屋には持ち込まず、洗面所の棚の中や頑丈な救急箱など、犬の目の届かないところに保管しましょう。
  • コードやケーブル類・・・犬がコードを噛み切って中の金属コードに触れてしまうと感電します。室内のケーブル類には噛み付き防止スプレーなどを塗り決して口に入れないようにしっかりしつけるか、もしくは配線が見えないように設置の工夫をしましょう。
  • ティッシュペーパー・・・犬はトイレットペーパーやティッシュペーパー、ウエットティッシュなどに大変興味を持ちます。紙類以外にもタオルや靴下などの布類も噛みちぎったりして大量に飲み込んでしまうと、体内で消化されず腸閉塞の原因となり大変危険ですので必ず犬の手の届かないところに置きましょう。
  • 人間用のぬいぐるみやおもちゃ・・・人間用のぬいぐるみは目の部分がボタンでできていたり、背中にファスナーがついているのもあるので犬が誤飲すると危険です。また犬用と比べ人間用のぬいぐるみやおもちゃは耐久性も少ないため、噛みちぎって中身の綿やおもちゃの破片を飲み込む恐れもありますので、必ず犬用のおもちゃで遊ばせましょう。
  • 種や串、魚の骨・・・梅干しやフルーツの種が喉に詰まると窒息死の恐れがあります。また焼き鳥や串カツなどの串、魚の骨などに美味しい匂いや肉片などがついているとがっついて飲み込んでしまう危険がありますので、食後はフタ付きのゴミ箱に素早く処分して犬が近付かないようにしましょう。
  • 針とヒモ状の細い糸・・・縫い針や釣り針を飲み込むと大変危険です。釣り針は抜けないように返しがついているので食道に刺さった場合は緊急手術が必要です。真っ直ぐな縫い針もそのまま胃まで達してしまう恐れもあり、心臓、肝臓、肺などの臓器に穴をあけ傷つける危険があります。また、ヒモ状の糸や毛糸などの長い物や輪ゴムなども腸管に引っかかりやすいので注意が必要です。いずれも犬が誤飲した場合、開腹手術か最悪死に至りますので裁縫道具や釣り道具は絶対に放置しないよう十分に注意しましょう。
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