近年、あまりにも多くのペットフードが市販され、どのフードを選べばいいのか悩みます。
お迎え当初は、ペットショップやブリーダーさんからその子が食べていたフードを教えてもらい、しばらく与えることが多いでしょう。
しかし、そのほとんどが添加物の多いフードが多く、人間向けの食品に用いられる添加物と同じとはいえ、やはり大切な愛犬に長期間与えるのは心配になります。
メーカーのキャッチフレーズや広告のイメージで選ぶのではなく、パッケージに記載されているラベルをしっかり理解することが愛犬の健康と体に合ったフード選びに繋がります。
ペットフードの種類と特徴
水分量により呼び名が変わります
- ドライフード・・・水分含有量10%以下→低コストで手軽に与えられて保管しやすいが水分不足に陥りやすい。
- セミモイスト・・・水分含有量25〜30%→嗜好性が高く手軽に与えられるが保存料の使用が多い。
- ウェットフード・・・水分含有量60〜80%→嗜好性が高く水分摂取もできるがコストが高く劣化が早い。
- 冷凍フード・・・水分含有量70〜80%→嗜好性が高く水分摂取もでき、加熱による栄養素の損失が少ないが解凍後は劣化が早い。
ペットフードの目的・用途
- 総合栄養食・・・犬が必要とする栄養基準を満たした毎日のごはん。新鮮な水と一緒に与えるだけでそれぞれの成長段階における健康を維持できるように理想的な栄養バランスが整えられており、製造にあたってはペットフード公正取引協議会により基準が設けられています。
- 療法食・・・特定の病気を管理するために食事療法を目的として使用されるフードです。ダイエット用の低脂肪フードやアレルギー対応の低アレルゲンフードなど、症状に合わせて臨機応変に使い分ける必要もある為、獣医師や専門家の指示に従って与えます。
- 間食・・・おやつやご褒美として少量与えるもの。原則として犬が1日に必要するエネルギーの20%以内に抑える事が推奨されています。
- その他の目的食・・・特定の栄養を調整する犬用サプリや、足りないエネルギーを補給するためのカロリー補完食及び栄養補完食、嗜好性で食欲増進させるなどを目的としたふりかけなどのペットフードです。
ペットフードの選び方
ここでは分かりやすいように我が家の愛犬が食べているフードのラベル写真を参考にご説明します
- 一定ラインの必要栄養基準を満たしている犬用総合栄養食かどうか・・・缶詰やレトルトパウチなどは総合栄養食ではなく嗜好性を重視した一般食であることが多いため、必ずどのような目的のフードなのかを確認しましょう。
- 主原料は何か確認する・・・原材料は使用量の多い順に記載されています。ドライフードは主要原材料欄の最初から3番目まで、缶詰は最初から2番目まで、その部分に動物性タンパク質が表示されているものを選びましょう。一般的に動物性タンパク質は植物性タンパク質よりも消化吸収が高いため、犬にとって効率よく栄養素を取り入れることができます。
- 原材料の質・・・ペットフード安全法では原材料そのものの質に関する基準がありません。たとえ栄養基準を満たしていても安価で粗悪なものが使われる可能性があるため、原材料名をしっかり確認する必要があります。
- よく分からない原材料はないか・・・原材料は『肉類』『副産物』『ミートミール』などでなはく、鶏肉、牛肉、豚肉、馬肉、ラム肉などと書かれているものの方が何を原材料に使用しているか明確です。また内臓についても『内臓類』ではなく、肝臓、心臓、肺など種類がはっきりと分かるようになっていることも品質の指標になります。
- 安全性に疑問のある添加物の確認・・・酸化防止剤(BHA・BHT・エトキシキン)、発色剤(亜硝酸ナトリウム)、保湿剤(プロピレングリコール)、食用タール系色素(赤色○号・黄色○号・青色○号・緑色○号)これらはいずれも発がん性やアレルギーの原因、発育障害などが発生すると報告されております。
とはいえ、ドッグフードにはエネルギー源として油脂成分が多く含まれているため、時間が経つと酸化や劣化する恐れもあり、鮮度と品質を保つために使用しているフードが多くあります。コストが高く保存期間は短くなりますが、せめて自然派の酸化防止剤としてミックストコフェロール(ビタミンE)・ローズマリー抽出物・アスコルビン酸(ビタミンC)・クエン酸などを使用したものを選ぶと良いでしょう。
- 賞味期限・・・極端に長い賞味期限は保存料、酸化防止剤が多く使われている事があります。一度開封し空気に触れた時点から徐々に酸化がはじまりますので開封後は1ヶ月を目安に使い切れる量の購入をおすすめします。
- 原産国・・・安全基準を満たした海外製品も多くありますが、暑い赤道直下を通過し輸送されるフードは高温で劣化する恐れがあるため、保存料や酸化防止剤の使用が多く含まれることもあります。心配な飼い主さんは日本国産のフード、または赤道を通過しない国の輸入フード、赤道を通過しても大丈夫なように多層構造のパッケージにて温度変化の影響にも対応しているメーカー品を選ぶことをおすすめします。
- 販売者・・・表示内容に責任をもつ事業所のこと。『販売者』『製造者』『輸入者』など種類をはっきり示した上で表示されています。
飼い主さんが納得できるフードであるかはもちろん大切ですが、先にも述べた通り栄養基準、安全性、愛犬の体質との相性を総合的に判断して選びましょう。
以前は合っていたフードでも愛犬の体質やライフスタイルの変化によって変わって来ることもあります。
愛犬の食い付きがよく一度納得できるフードが見つかったからといって、愛犬の食事に無関心になってはいけません。
愛犬の年齢や体型、体重、体調、糞尿の変化などしっかり観察し、適宜、フードの見直しをするのが理想です。
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犬の水分摂取量について
健康な犬であればきれいな水が常に飲めるように設置しておくことで必要な水分量を調節すると言われています。
しかし、実際には必要量を満たしていないことが多く、特にドライフードを主食としている犬に不足が目立ちます。
犬が1日に必要な水分量は摂取エネルギー量とほぼ同じで、1日に400kcal摂取していれば400cc前後の水分が必要と考えます。
この中には食事に含まれる水分や自発的に摂取する水分量も含まれる為、
『1日に必要な水分量ー食事中に含まれる水分量ー自発的な飲水量=不足分の水分量』と考え必要に応じて不足を補いましょう。食事以外にも1日に必要な水分量は、気温、活動量、食事の種類、食事中の糖分、塩分、食物繊維量、年齢、体調、ストレスなど多様な因子に左右されます。
とくに犬はパンティング(温度調整の為に犬特有の舌を出した口呼吸)により多くの水分が失われるため気温や湿度の高い季節には水分要求量が増します。逆に外気温が低くなる冬は自発的な水分摂取量が低下しやすく、尿路結石の発症率が高くなりますので、お白湯や犬用のヤギミルクなどで風味をつけるなどの工夫をして水分摂取量を増やしてください。また給水器よりも給水皿の方が飲みやすいので自発的に飲んでくれることもあります。
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1日の水分摂量の目安
その日の気温や食事に含まれている水分量などにも左右されますが、ドライフードを与えている犬が1日に飲む水の量は体重1kgあたり40〜60ml。
おおよそ体重1kgあたり50ml前後を目安にするといいでしょう。
体重3kgの犬なら1日150ml、体重6kgの犬なら1日300mlを目安に水を飲ませるようにするといいでしょう。
ウエットフードや手作り食など水分量が多い食事を与えている場合は目安量より少なめでも大丈夫です。
また、犬の運動量や体質、季節などでも1日に必要な水分量は変化するので、目安量の20%くらい増減する分には問題ありません。
しかし、1日の水分摂取量が体重1kgあたり90cc以上の場合『多飲』と考えます。多飲多尿は肝臓、膵臓、腎臓などの病気の典型的な症状である為、平均してどのくらいの水分を摂取しているのかを把握しておくことは病気予防にも繋がります。日誌に記録しておくなど常日頃から愛犬の観察をして、心配な時は早めにかかりつけの獣医師に相談しましょう。
犬の飲水量の量り方
我が家の場合は、給水皿でお水を飲むので、毎朝、愛犬の1日に必要な水分量を計量カップで量り、水筒に入れておき、一気にがぶ飲みしないようにその都度、補充して1日の終わりに飲水量を確認します。
給水器で飲ませている場合は朝1番に新鮮なお水を、その子の1日に必要な水分量をペットボトルに入れておきましょう。
愛犬の飲水量が少ない時の対処法
- お白湯にしたり犬用のヤギミルクなどで風味をつける。
- 愛犬がどこにいても水が飲みやすいように、水飲み場の数を増やす。
- ドライフードを与えている場合は水分量の多いウエットフードに替える。
- フードをお湯でふやかしたり、犬用のチキンスープなどをかけたりする。
水は全体重の60%をしめる生命維持に最も大切な栄養素
単に喉の渇きを潤すだけでなく、生命活動に必要な多様な働きがある為、10%程度の脱水で死に至ることもあります。
日々、愛犬の飲水量には十分に注意しておきましょう。