犬の介護と看取り

目次

犬の老化予防対策

マッサージで老化予防

犬の老化は自宅でもできるマッサージやストレッチである程度予防することは可能です。

しかし、犬の皮膚や関節はとてもデリケートなので、自己流のマッサージは大変危険です。

当サイトメニューでも自宅でできる犬のおうちケアなどのオンライン講座をご紹介しておりますが、専門家の指導の元、正しい知識を身につけて、愛犬の健康促進、老化予防、ご長寿にお役立てください。

サプリメントで老化予防

サプリメントは犬にとって生きていく上で必要ではありませんがなにかしら体に良い影響を及ぼしてくれる食品です。

数あるサプリメントの中でも、犬の老化予防に役立つ成分をご紹介致します。

【オメガ3脂肪酸】

【グリコサミノグリカン】

【抗酸化物質】

犬の老化サイン

気づきやすい変化5つ

1.視覚の低下

物にぶつかる、散歩中に足を滑らせる、食事(食器)の場所がわからない、暗い場所で動きが鈍くなる、目の前の物の動きに反応しない、急に触ると過剰に反応する。

2.聴覚の低下

呼びかけに反応しない、雷などの大きな音に驚かなくなった、帰宅時や来客時に寝たままでいる。

3.筋力の低下

痩せてきた(特にお尻)、散歩に行きたがらない、後足が震える、フローリングで足が開いてくる、長時間立っていられない。

4.皮膚の変化

被毛が白っぽくなってきた、毛艶が悪くなった、フケが多くなった、ベタベタしている、抜け毛が多くなった。

5.その他の変化

口臭が強くなった、今までと食べ物の好みが変わった。

気づきにくい変化5つ

1.免疫機能の低下

細菌やウイルスなどの感染症や腫瘍性疾患にかかりやすくなり、ケガをしたときも治りにくい。

2.消化機能の低下

硬い物や脂肪分の多いものは消化に負担がかかり、運動時間が短くなることでさらに消化機能が低下する。

3.ホルモン分泌の減少

高齢になると甲状腺ホルモンの分泌が低下します。また糖尿病やクッシング症候群などにかかるとホルモン分泌が異常になることもあります。

4.循環器機能の変化

心臓の収縮能は加齢とともに低下する傾向にあります。特に心疾患は先天性よりも後天性の方が発生率は高いです。

5.薬物動態の変化

高齢になると肝機能・腎機能が低下し薬剤の血中濃度が上昇しやすく排泄が遅延する傾向にあるため注意が必要です。

犬の認知症

認知症の原因

犬も高齢化が進み、1老化によってさまざまな症状が出てくるようになりました。

人間と同じく犬も加齢よって13歳を過ぎたあたりから認知機能が低下していき、脳神経細胞の活動が衰え、自律神経が低下するために起こるといわれています。

認知症の症状

・昼は寝ていることが多く、夜に起きて騒ぐ

・同じ方向に歩き続け旋回運動を繰り返す

・部屋の隅など狭いところに頭を突っ込み後退できない

・食欲不振または異常な食欲旺盛

・目の焦点が合わず、一日中ぼ〜っとしている

・抑揚のない単調な大きな声で鳴き続ける

・呼びかけに反応しない

・飼い主さんの顔が認識できない

このような症状が1つでもあれば認知症の疑いがあります。

認知症の対応法

認知症に関しては治療法や予防法はなく、適度な運動や刺激、知育玩具、自律神経を整えるマッサージ、犬のアロマテラピー、家族以外の人間や犬との触れ合い、EPA・DHAが含まれた食品やサプリメントを早い時期から摂取することで、ある程度進行を遅らせることは可能です。

また、脳に腫瘍がある場合も認知症と似たような行動を起こすことがあります。

脳腫瘍の場合だと場所によっては手術で取り除くことが可能で、そうなれば今まで認知症が原因では?と思っていた行動が多少改善されることも考えられます。ただほとんどの場合、高齢で手術をするリスクを伴うので、介護は大変ですが長年一緒に暮らしてきた愛犬のためにできる限りのことをしてあげることが、いずれ迎えるペットロスの軽減にもつながります。

犬の介護に備える

記録をつける

日々の生活の中で徐々に訪れる変化には気づきにくいものですが、愛犬をよく観察しているとわかることがたくさんあります。

介護が必要になってから記録をつけるのでなく、老いを感じ始めた頃から愛犬の様子を記録した愛犬手帳をつけ始めることをお勧めします。

1.記録をつける目的

・変化に気づく

・病気の早期発見

・獣医師に『いつから』『どんな変化があったのか』を正確に伝えられる

2.記録項目

・飲水量:適正な1日の水分量を朝起きたらペットボトルに入れてその都度飲ませると把握しやすい

・排尿:回数、色、状態(血液や膿が混じっていないかなど)

・排便:回数、状態(下痢、便秘、血液が混じっていないかなど)

・皮膚の状態:腫れやしこりなど変わったことがないか

・目ヤニ、耳垢や異臭、歯茎の腫れ及び出血、口臭などはないか

・歩行状態:健康な時と変わりはないか

・肛門線:におい、絞る頻度(どれくらいの間隔で溜まるのか)など

・その他気づいたこと:どこが?どのように?

環境を整える

環境整備のポイントは安全・快適・清潔を保つことです。

注意点としては大きな環境変化をしないということです。

1.事故防止策をする

・家具の角にぶつけないようにクッション材などをつける

・コンセントキャップをつける

・コードは束ねて引っかからないようにする

・家具の隙間をつくらない

・ペット用のスロープなどを利用し段差をなくす

・先を見越して早めの対策をとり、少しずつ慣れさせるようにしましょう

2.床材

・滑りにくい床材にする

・カーペットや滑り止めマットを敷く

・這って移動する場合は摩擦を軽減するため、完全な滑り止めの床にはしない

3.温度・湿度

・温度湿度の管理ができること

・愛犬の状態に合わせて管理する

4.トイレ

・排泄介助を行う場合は、介護用品などを利用し、可能な限り負担を軽減する。

・トイレを失敗する場合は、トイレの面積を広くする、大きめのトイレやペットシーツを余分に敷く、もしくは場合によってはオムツを着用する。

5.日差し

・1日のリズムをつけるために、光のコントロールができるようにする

・日中はカーテンを開けて適度な日光浴をさせ、夜は明かりを落とし眠りやすい環境にする。

・夜、リビングなどで飼い主さんと一緒に過ごす場合は、テレビの音量を小さくし、クレートに布を被せるなどをして光のコントロールをする。

・認知症で昼夜逆転している場合も可能な限り、朝日の中を散歩するなどして体内時計をリセットさせる。

・暗くすると不安になる犬もいるので、様子を見ながら光のコントロールをする。

6.寝る場所・ベッド

・介護状態、身体の状態を考慮し、愛犬が快適で飼い主さんも介護しやすいベッドを用意する。

・外の騒音などがなく、愛犬が安心できる場所を確保する。

7.その他

・吸水器だと筋力の低下で飲む姿勢が維持することが難しくなる場合があるので、普段からボウルやお皿で飲めるようにならしておく。

・介護期の犬は今までしなかったようなイタズラをすることがあります。それは人と共に生活していく上で犬自身が学習した『してはいけないこと』という知識が薄れていくからです。なので決して叱るのではなく、まだ何も知らない幼犬のように飼い主さん自身が事故の原因となるものを排除するという先を見越した環境整備をしてあげてください。

・介護期は犬の混乱を避ける為に、家具の配置換えはなるべく行わないようにしましょう。

犬の痛みを和らげる方法

加齢に伴って何らかの病気を患うと、大なり小なり痛みを抱えた状態で生活することが余儀なくされてしまいます。

老犬が見せる微妙な変化を敏感に捉え痛みにいち早く気づいてあげることがとても大事です。

体重管理

変形性関節症や骨関節炎といった筋骨格系の疾患を抱えている老犬の痛みをコントールしていく上で、体重管理は極めて重要です。

犬の肥満は筋骨格系の負担を増やすばかりではなく、関連疾患を誘発してしまう危険性もあるので、肥満を放置放置しておくことは非常に危険なのです。厳しいようですが怠慢飼育と言われても過言ではありません。

体力の衰えた老犬に無理やり運動させて体重を減らすのは酷なので、適切な食事管理によって、そもそも太らせないようにすることが何よりも重要となります。

温熱療法

1.温熱療法の効果

・痛みの軽減

・血圧を下げる

・筋肉の痙攣を軽減する

・血液循環や代謝を高める

・温めた箇所において白血球の分裂が高まり、組織の修復を促進する

・神経伝達速度が増す

2.温熱療法の禁忌と注意点

・急性炎症部位には行わない

・出血している部位や最近出血した部位

・心不全疾患がある

・熱がある

・妊娠中

・体温調節機能に障害がある

・放射線療法後

※おうちでできる簡単な温熱療法はホットタオルや小豆ボールなどを使った『温パック』です。熱々のパックを直接体に当てると火傷の危険性があるので、使用する際は必ずタオルに包み込み、飼い主さんが手の甲で温度を確認してください。

※犬が噛んで中身を誤飲しないように十分に気をつけましょう。

冷却療法

外傷直後の急性炎症に最も効果的で鎮痛効果や抗炎症効果のほか、出血や筋肉の痙攣を抑制するといった効果を併せ持っています。

骨関節炎などの疾患を持っている犬が運動をした後、火照った関節を冷ます目的で行うと効果を発揮してくれます。

1.冷却療法の効果

・疼通を軽減する

・血流の低下と出血の抑制

・炎症とむくみの軽減

・筋緊張の軽減

・代謝を低下させてヒスタミンの放出を抑制する

・一時的に筋肉の粘着性を高めて急速な動きを制限する

2.冷却療法の禁忌と注意点

・進行した心疾患

・急性の発熱性疾患

・寒冷刺激に過敏な体質

・湿疹や皮膚炎などの急性の皮膚症状

・末梢血液循環が障害されている部位

・血液障害による血虚部位

・凍傷や体温調節機能の障害部位

・半年以内に放射線療法や電離放射線の部位

・外傷や感染症の傷がある

・転移組織

※最も簡単な方法は砕いた氷を袋に入れたものを布で包み、幹部に10分〜15分当てる。

※過度な冷却による凍傷を防ぐため、冷却パックがマイナス20度以下にならないように注意しましょう。

※また保冷剤などを使用する際は中身のゲルが動物にとって毒性を発揮することもありますので、犬が中身を誤飲しないように厳重に注意しましょう。

虹の橋への旅立ちとペットロス

私たちは人生においてさまざまな困難を経験します。その中でも愛着の絆で結ばれたかけがえのない存在を死によって失うことは、最もつらく苦しい経験です。

ペットロスは『ならないようにする』のではなく『うまく付き合う』ということがとても大切です。

愛犬との別れにうまく付き合う心のプロセス4つのポイントです。

1.喪失の現実を受け入れ、きちんとお別れをする

大切な存在が亡くなった現実を認めるのはつらいものです。『信じたくない、こんなことは何かの間違いだ』と否認することもよくある当然の反応です。

しかし、心のプロセスは喪失を受け入れ、お別れをすることから始まります。葬儀を行う、お別れの会を行うなど方法はさまざまですが、きちんとお別れをしましょう。

2.悲しみと向き合い解放する

信頼できる親しい人に話を聴いてもらうこと、あるいは日記など文章を書いて一人で静かに自分の気持ちを見つめることは、気持ちを整理し心のプロセスを進めるのにとても大切です。

中には周りに心配をかけないよう、悲しみを我慢して出さないようにする方もいらっしゃいますが、プロセスを進めるためには感情を出すことが必要です。

泣くことには感情を表出し浄化する効果がありますので、我慢せずたくさん涙を流してください

ただし、一日中ずっと悲しみと向き合ってばかりでは健康を損なってしまいますので、一方では家事や仕事に集中したり、気晴らしをして、悲しみから離れる時間も大切にしましょう。

3.周囲を信頼し、サポートを受け取る

繰り返しになりますが、誰かと一緒に背負うことでどんな重荷も軽く感じられるものです。家族や友人、職場の同僚、パートナー、仲間、サポートグループ、カウンセラーなど、話を好意的に聴き、ともに悲しみを負ってくれる人が必ずどこかにいます。素直に甘えてその人たちからのサポートを受け取ってください。そしていつか順番が来たら今度は自分がそのお返しをしてあげてください。

4.自分をいたわり大切にする

そして最後に大事なことですが、悲しみで胸がふさがれているとき、つい自分自身のことがおろそかになりがちになります。悲しみの涙が感謝の涙に変わるまでには時間もかかります。

その間、ときには気晴らしをしながら、どうぞ自分をいたわり大切にすることを忘れないでください。

そのためにも、愛犬が元気で共に暮らしている時からたくさんコミュニケーションをとってあげましょう。

愛犬が苦しくてつらいときは、そばでサポートできる知識を身につけましょう。

そして、最後は『ごめんね』ではなく『ありがとう』の言葉が言えることが何よりも愛犬にとって一番の喜びなのです。

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